社内恋愛・上司と部下ものは、TLでもっとも作品数が多い設定だ。
なぜこれだけ書かれるのかには、はっきりした理由がある。そして、数が多すぎることがそのまま読者の問題になる。
条件が同時に揃う
恋愛を描くのに必要な条件が、職場という舞台には最初から揃っている。
- 毎日会う — 関係が進む理由を作らなくていい
- 立場の差がある — 障害が最初から存在する
- ばれてはいけない — 緊張感が持続する
- 公私が分かれる — 態度の落差を作れる
最後の一つが効く。職場での顔と、二人のときの顔。この差が、このジャンルの一番の読みどころになっている。
他の型と比べると分かりやすい。幼なじみは下地があるが落差は作れない。契約結婚は期限があるが日常の顔がない。両方を持っているのが社内恋愛だ。
立場の組み合わせ
| 組み合わせ | 何が障害になるか | 数 |
|---|---|---|
| 上司と部下 | 評価と私情が混ざる危うさ | 一番多い |
| 同僚 | 立場の差はない。周囲の目が障害 | 中くらい |
| 取引先 | 会える回数が限られる | 少ない |
| 秘書と社長 | 距離が近すぎる | 多い |
| 先輩と後輩 | 差が小さいぶん逆転しやすい | 中くらい |
上司と部下が圧倒的に多い。立場の差がそのまま関係の力学になるからだ。
一番下は先輩・後輩ものと重なる。差が小さいぶん、途中で逆転が起きやすいのが特徴になる。
落差の作り方が出来を決める
作品の出来は、公私の落差の作り方で決まる。
落差が大きいほど印象に残るが、大きすぎると人物が破綻して見える。職場では冷酷、二人のときは別人。この差に理由がないと、読者は「同じ人物だ」と思えなくなる。
良い作品には理由が用意されている。
- 立場上そうせざるを得ない
- 過去に公私混同で失敗している
- 相手を守るために距離を取っている
理由がある作品は、落差が大きくても成立する。ここは立場逆転もので「逆転に理由があるか」が効くのとまったく同じ構造だ。
試し読みの範囲でも職場の場面は必ず出てくる。そこで人物が成立しているかを見ておくといい。見方は試し読みで見るべき3つのことにまとめた。
数が多すぎる問題
このジャンルの難点は、多すぎて選べないことに尽きる。
条件をひとつ足すだけで、候補は現実的な数になる。
| 足す条件 | 効き方 |
|---|---|
| 相手の性格 | 一番効く。執着・ワンコ・俺様 |
| 始まり方 | 再会、契約、一夜から |
| 形式 | 単話か単行本か |
| 後味 | 純愛タグの有無 |
性格で絞るのが一番効く。同じ社内恋愛でも、俺様上司と執着上司ではまったく別の話になる。
結末の傾向
このジャンルは着地が比較的安定している。
- 関係が公になる — 数が多い。結婚や異動で解決する
- 隠したまま続く — 少数派
- どちらかが職場を離れる — 障害を物理的に解消する型
一つ目が多いので、後味を心配する必要は比較的少ない。不倫もののように結末が四方向に割れるジャンルとは、この点が大きく違う。
よくある質問
BLにも同じ設定はありますか
ある。構図は同じで、立場の差と公私の落差が使われる。数も多い。
会社が舞台でないと社内恋愛ではないですか
学校の職員室や病院など、同じ組織に属している設定であれば同じ構図が使える。タグは分かれることが多いので、探すときは舞台で絞るといい。
結末はどうなる作品が多いですか
関係が公になる形で終わる作品が多い。隠したまま終わる作品もあるが、少数派だ。
既婚の上司との作品もありますか
ある。その場合は不倫もののタグが併記される。読み心地はかなり変わるので、確認しておきたい。
数が多すぎて選べません
相手の性格で絞るのが一番効く。それでも多ければ、形式(短編か長編か)をもう一つ足すといい。
職業ものとの違いは何ですか
職業ものは仕事の内容と立場が主題、社内恋愛は同じ組織にいることが前提になる。両方のタグが付く作品も多い。