シチュエーションボイスの商品ページには、内容のタグに混じって録り方のタグが並んでいることがある。バイノーラル、KU100、ASMR、立体音声。これらは何が起きるかを説明していない。
バイノーラルとは
左右の耳に、別々の音を届ける録り方のこと。人間の頭と同じ形をしたマイクで録ることで、音が右から来たのか、後ろから来たのか、どのくらい近いのかまで再現される。
普通のステレオ録音でも左右の差はあるが、バイノーラルは「耳のところにマイクがある」状態で録る。だから耳のすぐ横で囁かれたという感覚が出る。
代わりに、イヤホンかヘッドホンでないと成立しない。スピーカーで鳴らすと左右の音が空中で混ざるので、この録り方の意味がほぼ無くなる。
KU100とは
バイノーラル録音に使うダミーヘッドマイクの、機種名だ。人の頭を模した形をしていて、耳の位置にマイクが入っている。
つまりKU100は「バイノーラルで録りました」よりも一段具体的な表示になる。この機材を使ったと明記しているサークルは、そこを売りにしているということでもある。
| タグ | 意味するところ |
|---|---|
| バイノーラル | 左右別々に録る方式そのもの |
| KU100 | その録音に使った機材の機種名 |
| 立体音声 | 同じことを日本語で言い換えた表示 |
| ASMR | 音そのものを主眼にした作品であるという宣言 |
ASMRだけ、少し種類が違う
上の3つが録り方の話なのに対して、ASMRは何を聴かせたいかの話に寄っている。
耳舐め、吐息、水音、衣擦れ、囁き。物語や台詞ではなく、音そのものを目当てに聴くための作品につく。台本も効果音も用意せず、吐息と沈黙だけで119分ある作品も実際に出ている。
だから「ASMR」と「バイノーラル」は両方付くことがあるし、片方だけのこともある。ASMRだがモノラル、という作品もありうる。
数としては多数派ではない
FANZA同人の女性向け棚「らぶカル」で、レビュー上位200件のうち音声だった98本を数えると、こうだった。
- 耳舐め 33本
- バイノーラル 9本
- ASMR 7本
- KU100 7本
耳舐めのタグは3本に1本に付いているのに、録り方のタグは1割前後しかない。耳元で聴かせる作品自体は多くて、そのうち録り方まで明記しているものが一部、という関係になっている。
明記が無い=普通のステレオ、とは限らない。書いていないだけの作品もある。ただ、書いてあるものは環境を要求しているとは言える。
買う前に確認すること
イヤホンかヘッドホンがあるか。これだけだ。
これらのタグが付いた作品は、耳のすぐ横で音が鳴る前提で作られている。スピーカーしか使えない環境なら、録り方のタグが付いていない作品を選んだほうが損をしない。
逆に、イヤホンで聴ける環境があって、耳元の距離感が目当てなら、これらのタグは信頼していい指標になる。中身の当たり外れとは別に、録音の手間をかけた作品であることは確かだからだ。
よくある質問
スピーカーで聴くと聴けませんか
聴けるが、設計どおりには聞こえない。左右の音が空中で混ざるので、距離感と方向がほぼ消える。「耳元で囁かれている」が「普通に喋っている」になる、という程度の差だ。
骨伝導イヤホンでも大丈夫ですか
左右が分かれていれば方向は出る。ただし低音と、耳のすぐ内側で鳴る感じは弱くなる。この手の作品を目当てにするなら、カナル型のほうが向いている。
シチュエーションボイスとは違うものですか
違う軸の話だ。シチュエーションボイスは作品の形式で、バイノーラルは録り方。両方を兼ねている作品が多い。形式のほうはシチュエーションボイスとはに書いた。