不倫ものは、既にある関係の外側で、新しい関係が生まれる設定を指す。
作品数の多いジャンルで、TLにもレディースコミックにも、成人向けコミック全般にも広く存在する。ただし呼び名が視点によって変わるため、探すときに混乱しやすい。まずそこを整理する。
視点で呼び名が変わる
同じ三角形を、誰の側から描くかで名前が変わる。
| 語り手 | 呼ばれ方 | 中心にある感情 |
|---|---|---|
| 関係を持つ当事者 | 不倫もの | 罪悪感と高揚 |
| 元の相手(失う側) | NTR | 喪失 |
| 外から入る側 | 寝取り | 達成 |
| 選ぶ立場にある側 | 三角関係 | 迷い |
狭い意味での不倫ものは、一番上だ。関係を持つ当事者の内側から描かれる。
だから読み心地も他の三つとは違う。喪失でも達成でもなく、「してはいけないことをしている」という状態そのものが中心になる。
人妻ものとの違い
近い場所にあるが、指しているものが違う。
人妻ものは立場のタグだ。結婚しているという設定を示す。
不倫ものは関係の形のタグだ。既にある関係の外側で何かが起きることを示す。
| 人妻もの | 不倫もの | |
|---|---|---|
| 何を示すか | 立場 | 関係の形 |
| 相手 | 誰でもよい | 配偶者以外 |
| 夫の存在 | 描かれないこともある | 前提として存在する |
両方のタグが付く作品は多いが、片方だけの作品もある。夫が登場しない人妻ものもあれば、既婚でない相手との不倫を描く作品もある。
緊張感の出どころ
このジャンルの核は、失うものがある状態にある。
守るべき生活があり、それを危うくする選択をする。この構図が緊張感を作る。だから相性のいい要素が決まってくる。
- ばれるかどうか — 露出ものと同じ構造。外部からの脅威
- 時間の制限 — 会える時間が限られている。契約結婚ものの期限と同じ働き
- 場所の制限 — 人目のある場所でしか会えない
- 第三者の存在 — 配偶者、子ども、同僚
制約が多いほど話が締まる。制約のない不倫ものは、ただの恋愛ものになって緩む。
舞台の型
| 舞台 | 特徴 |
|---|---|
| 職場 | 会う理由が説明不要。社内恋愛の構図が流用できる |
| 近所・ママ友 | 生活圏が重なる。ばれる危険が最大 |
| 再会 | 過去の関係が復活する。再会ものと重なる |
| 相手も既婚 | W不倫。双方に失うものがある |
職場が一番多い。毎日会う理由があり、立場の差も作れるからだ。
フィクションとして読むもの
念のため書いておくと、これはフィクションのジャンルだ。
現実の問題を扱う記事ではない。読者がこのジャンルに惹かれる理由も、現実でそうしたいからではなく、現実では選ばない選択を安全に読めるからという側面が大きい。
罪悪感を伴う関係を、こちらは何も失わずに眺められる。それが読み物としての機能になっている。
結末を先に確認する
このジャンルは結末で読後感が大きく分かれる。
選ぶ、終わる、ばれる、続く。四つの型があり、それぞれ後味がまったく違う。ここを確認せずに読むと、求めていたものと違う疲れ方をする。
詳しくは不倫ものの結末の型にまとめた。
苦手な場合
NTRが苦手なら、不倫もののタグにも注意が要る。視点が入れ替わるだけで同じ構図だからだ。
純愛タグで絞れば、このジャンルはまず入っていない。避け方の考え方はハズレを引かない選び方にまとめた。
よくある質問
不倫ものとNTRは同じですか
構図は同じで、視点が違う。当事者の内側から描けば不倫もの、失う側から描けばNTRになる。読み心地は正反対だ。
夫が出てこない作品もありますか
ある。存在は前提とされているが画面に登場しない作品は多い。夫が丁寧に描かれるほど、失うものの重みが増してNTR寄りの読み心地になる。
女性向けと男性向け、どちらが多いですか
どちらにもある。女性向けでは当事者の視点で罪悪感と高揚を描く作品が多く、男性向けでは寝取る側や失う側の視点が増える傾向がある。
純愛として描かれる不倫ものはありますか
ある。立場を捨てて相手を選ぶ型がそれにあたる。ただし純愛タグは三角関係を含まない作品に付くことが多いので、タグでは見つけにくい。
BLにもありますか
ある。既婚男性が相手になる設定で、構造は同じだ。失うものがある状態という前提がそのまま使われる。
どこから読み始めればいいですか
職場を舞台にした短編が入りやすい。設定の説明が要らず、1話で読み切れる。結末の型を確認してから選ぶと外しにくい。