オメガバースは、男女とは別に「第二の性」がある世界を舞台にした設定だ。特定の作品ではなく、多くの作家が共有して使っている世界観のことを指す。
α・β・Ωの3つ
| 分類 | 位置づけ |
|---|---|
| α(アルファ) | 数が少なく、体格や能力に優れるとされる。相手を惹きつける側 |
| β(ベータ) | 人口の大半。第二の性の影響をほとんど受けない |
| Ω(オメガ) | 数が少ない。周期的に強い状態変化が起き、相手を惹きつけてしまう |
物語の中心になるのは、αとΩの組み合わせだ。βは日常側の人物として置かれることが多く、主役になる作品は比較的少ない。
重要なのは、この分類が本人の意思で選べないものとして設定されている点だ。生まれた時点で決まっていて、変えられない。ここが物語を動かす。
最低限の用語3つ
ヒート(発情期)— Ωに周期的に訪れる状態。本人の意思と関係なく起きるものとして描かれる。ここが物語の起点になることが多い。
番(つがい)— αとΩが結ぶ、生涯にわたるとされる関係。一度結ぶと解消できないという扱いの作品が多く、この不可逆性が話の重さを決める。
うなじ(項)— 番を結ぶときに噛む場所。Ωにとって最大の弱点として描かれる。「うなじを守る」「噛まれる」といった表現が出てきたら、関係の決定的な場面だと思っていい。
この3つが分かれば、初めての作品でも詰まらずに読める。
なぜこの設定が使われるのか
逃げ場のない関係を、無理なく作れるからだ。
現代を舞台にした恋愛では、別れるという選択肢が常にある。だから「離れられない」を成立させるには、監禁のような強い展開が必要になる。オメガバースは、それを世界の仕組みとして最初から用意している。
αとΩは、本人が望むかどうかと関係なく惹かれ合う。番になれば解消できない。この前提があるから、関係そのものの重さを主題にできる。
同時に、社会的な扱いの差も描ける。数の少ないΩが制度的に不利に置かれている、という設定を持つ作品は多い。そこに主人公が抗う話にもなる。
作品ごとに設定が違う
ここが初心者の混乱するところで、オメガバースには公式の統一設定がない。
- 番が本当に解消できないのか
- 第二の性が社会にどう扱われているか
- 分類を判定する仕組みがあるのか
このあたりは作品ごとに違う。ある作品で当然だったことが、別の作品では通用しない。「前に読んだのと違う」は不具合ではなく仕様だと思っておくといい。
だから、読み始めの数ページで世界の説明が入る作品が多い。そこを飛ばさないほうがいい。
向く人・向かない人
向く人 — 逃げられない関係に惹かれる人。設定を読むこと自体が楽しい人。関係の重さを主題にした話が好きな人。
向かない人 — 対等で自由な恋愛が読みたい人。当人の意思で選ばれる関係を重視する人。設定の説明が多いと疲れる人。
オメガバースは構造上、本人の意思より先に関係が決まる。そこを面白いと感じるか、受け入れがたいと感じるかで評価がまるで変わる。
なお、結末が全員にとって幸せとは限らない作品も一定数ある。後味を重視するならメリバも先に読んでおくといい。
よくある質問
BL以外のオメガバース作品はありますか
ある。BLで広まった設定だが、男女の組み合わせで描かれる作品も出ている。ただし数はBLのほうが多いので、探すときはまずBL側を見ることになる。
用語が多くて挫折しそうです
上の3つ(ヒート・番・うなじ)だけ覚えれば読める。それ以外の用語は、作品側が説明してくれることが多い。全部覚えてから読み始める必要はない。
重い展開が苦手ですが読めますか
作品による。コメディ寄りの作品もあれば、社会的な不利を正面から描く重い作品もある。試し読みで序盤の空気を確認するのが確実だ。見方は試し読みで見るべき3つのことにまとめた。