シチュエーションボイスは、聴いている人に向かって直接話しかける形で進む音声作品だ。「シチュボ」と略される。
登場人物はたいてい一人で、相手役はいない。相手役は聴き手だからだ。作品側は「あなた」として扱い、返事を待つ間が置かれる。
ボイスドラマ・ASMRとの違い
| 話者 | 聴き手の位置 | 主眼 | |
|---|---|---|---|
| シチュエーションボイス | 基本1人 | 登場人物の一人 | 状況と台詞 |
| ボイスドラマ | 複数 | 観客 | 物語 |
| ASMR | 1人または0人 | 場にいる人 | 音そのもの |
ボイスドラマは登場人物同士が会話する。聴き手は外から聞いている観客だ。シチュボは違って、会話の片側が空けてある。
ASMRは主眼が音のほうにある。耳元の吐息、水音、衣擦れ。台詞や物語は無くても成立する。実際、台本も効果音も用意せず吐息だけで119分あるという作品も出ている。
ただし三つは排他ではない。らぶカルの音声98本を見ると、ASMRのタグが付いているものが7本、バイノーラルが9本あった。シチュボの形をしながら録り方はASMR、というものが普通にある。録り方のタグについてはバイノーラル・KU100・ASMRの違いにまとめた。
女性向けの棚では、漫画と同じだけある
FANZA同人には「らぶカル」という女性向けの棚がある。ここでレビューの多い順に200件を取って中身を数えると、こうなった。
- コミック 101本
- 音声 98本
- CG 1本
ほぼ半々だ。しかもレビューの数では音声のほうが多い。コミックで最多が29件なのに対して、音声は41件と35件が並んでいる。
棚の見た目は漫画の表紙で埋まっているので気づきにくいが、読まれているのは音声のほうだ、という言い方もできる。実際に聴いた7本はシチュエーションボイスのおすすめ7本に並べた。
買う前に見る3つ
音声は中身を確かめにくいと思われがちだが、商品ページに書いてあることは漫画より多い。
トラック構成 — 何本で何分か、本編と特典がどう分かれているかが秒単位で出ている。「Tr02 油断しすぎ。【20:26】」のように、見出しと長さが並ぶ。45分1本のものと、12本に割ってあるものがある。長さより、どこで区切ってあるかのほうが聴き心地に効く。
声優名(CV)— 必ず書いてある。同じ声優を追う買い方ができるのは、漫画の棚には無い性質だ。作品名を覚えていなくても、声優名で次が探せる。
サークルが載せている台詞 — 商品ページに本編の台詞が数行そのまま引用されていることが多い。これが本編の語り口そのままなので、合うか合わないかはだいたいそこで分かる。キャラクターの年齢・職業・出身、サークルによってはMBTIまで書いてある。
分量の相場
らぶカルの音声98本で、収録時間の中央値は60分。1本で1時間、というのが体感に近い。
98本のうち63本が割引中だったので、定価のまま買う棚ではない。
漫画のほうは同じ棚で68ページ。60分は、漫画68ページより長く持つ。棚ごとの相場は女性向けのエロ、どこからにまとめた。
向く人・向かない人
向く人 — 目を使わずに済ませたい人。寝る前に聴きたい人。声優で選びたい人。文字を追うのが疲れる日がある人。
向かない人 — 絵がないと入り込めない人。イヤホンを使えない環境しかない人。自分のペースで速く進めたい人(音声は早送りしにくい)。
なお、特典トラックを本編とは別の用途で使っている人は多い。「特典の看病からの寝かしつけボイスがすっごく良かったです。安眠できるので何回も聞いてます」というレビューが実際にある。エロのために買って、寝るときに使う、という買われ方をしている。
よくある質問
スマホだけで聴けますか
聴ける。ブラウザ視聴に対応している作品が多く、ダウンロードして手元に置くこともできる。ただしイヤホンかヘッドホンは要る。左右で違う音を出している作品が多いので、スピーカーだと設計どおりに聞こえない。
途中で止めても大丈夫ですか
トラックが分かれているので止めやすい。本編45分1本という作品もあるが、そういうものは商品ページの構成を見れば買う前に分かる。中断が前提なら、細かく割ってある作品を選ぶといい。考え方は移動中に読む作品の選び方と同じだ。
女性向けと男性向けで棚が違いますか
違う。FANZA同人は「同人(男性向け)」と「らぶカル」で棚が分かれていて、らぶカルはさらにTLとBLに分かれる。詳しくはらぶカルとはに書いた。