ふたなりは、両方の性別の身体的特徴をあわせ持つ人物を指す設定だ。漢字では「双成り」と書く。
言葉としては古くからあり、もとは特定のジャンルを指すものではなかった。いまは作品を分類するタグとして完全に定着していて、作品数も多い。
このジャンルで最初につまずくのは、似た言葉が4つあって、どれが何を指すのか分からないことだ。まずそこから片付ける。
似た言葉の違い
同じ棚に並びやすい4つだが、指しているものがそれぞれ違う。
| 呼び方 | 何を指すか | 何の話か |
|---|---|---|
| ふたなり | 両方の身体的特徴をあわせ持つ | 状態 |
| 男の娘 | 見た目が女性的な男性。身体はそのまま | 外見 |
| 女体化 | 男性だった人物が女性に変わる | 変化 |
| TS | 性別そのものが入れ替わる | 変化 |
整理するとこうなる。
- 男の娘は外見の話。身体的な設定は何も変わっていない
- 女体化とTSは変化の話。前と後があり、その差が読みどころになる
- ふたなりは状態の話。変化を伴うとは限らない
二つの型
ふたなりものは、いつからその状態なのかで大きく二つに分かれる。ここが作品の作りを決める。
最初からそうである型
世界設定としてそういう存在がいる、あるいは主人公が生まれつきそうである、という前提から始まる。
戸惑いの描写が要らないので、話が関係のほうに向く。恋愛ものとして成立させやすく、日常ものにもできる。ファンタジー設定と組み合わせると、種族の一つとして自然に置ける。
作品数としてはこちらが多い。
途中でそうなる型
薬、魔法、呪い。何らかの理由で身体が変わる。
読みどころは変化そのものと、本人の戸惑いになる。TSものと構造が近く、「元に戻るのか、戻らないのか」が話の焦点になりやすい。
こちらは短編や単話で扱われることも多い。変化の一点に集中できるからだ。
| 最初から型 | 途中から型 | |
|---|---|---|
| 中心にあるもの | 関係 | 変化と戸惑い |
| 説明の量 | 少ない | 多い |
| 元に戻る問題 | 発生しない | 話の焦点になる |
| 長さの傾向 | 長編もある | 短編が多い |
紹介文の冒頭を読めば、どちらの型かはすぐ分かる。
相手の組み合わせで絞る
ふたなりの人物が誰と関係を持つかで、作品の位置づけが変わる。ここはタグに書かれていることが多いので、絞り込みによく効く。
- 女性と — 数としては一番多い。男性向けの棚に集中している
- 男性と — BL寄りの棚に置かれることもある。カップリング表記が使われる場合がある
- ふたなり同士 — さらに絞られた区分。数は少ないが、専用のタグがあることが多い
この一つで候補が三分の一以下になる。ふたなりというタグだけで探すと母数が大きすぎるので、まずここを決めるのが早い。
ファンタジー設定と相性がいい
理屈をつけやすいのが理由だ。魔法、種族、薬、呪い。現代を舞台にすると説明が必要になるが、ファンタジーなら世界の仕組みとして置ける。
そのため、次のような設定と同居している作品が多い。
逆に、現代を舞台にした作品は「なぜそうなったか」の説明に紙幅を使う。そこを面白がれるかどうかで好みが分かれる。
主導するのはどちらか
見落とされやすいが、ふたなりの人物が主導する側とは限らない。
- 主導する型 — 経験や立場が上。女性優位と重なることが多い
- 主導される型 — 戸惑っている側に置かれる。変化型に多い
- 対等型 — 数は少ないが、関係を描く作品にある
タグには書かれないことが多いので、あらすじの主語で判断することになる。
苦手な場合
はっきり分かれるジャンルなので、合わないなら避けていい。
判別は比較的簡単だ。タグにも表紙にも出ることが多い。不意に踏むタイプの要素ではないので、事前に落とせる。
一場面だけ入る作品はまれにあるが、その場合もレビュー本文に言及があることが多い。読み方は星の数より、レビュー件数を先に見るにまとめた。
選ぶときの手順
母数が大きいジャンルなので、順番を決めておくと早い。
- 相手の組み合わせを決める — ここで候補が大きく減る
- 最初から型か、変化型かを決める — 読みたいものが違う
- 表紙を見る — 絵柄が合わない作品はこの時点で落とす
- 試し読みを開く — 顔の描き分けとセリフ量を見る
3番と4番は他ジャンルと同じだが、1番と2番でどれだけ絞れるかがこのジャンルでは効く。
よくある質問
男の娘とふたなりはどう見分けますか
作品ページのタグを見るのが確実だ。男の娘は見た目が女性的な男性を指すので身体的な設定は変わらず、ふたなりは身体的な特徴そのものの話になる。紹介文で「見た目が」と書かれていれば前者だ。
途中でふたなりになる作品を探しています
「変化」「変身」「なってしまう」といった語が紹介文にあるものが該当しやすい。最初からその設定の作品と混ざって並ぶので、あらすじの冒頭を読んで判断することになる。
女性向けの作品にもありますか
ある。ただし数は多くない。組み合わせのタグで絞ると見つけやすくなる。関係性を描く作りになりやすい。
元に戻る作品と戻らない作品、どちらが多いですか
変化型に限れば、戻らないまま終わる作品のほうが多い。戻ることを目指す話は目標がはっきりするぶん分かりやすいが、数としては少数派だ。
ファンタジー以外の舞台もありますか
ある。現代を舞台にした作品では、薬や研究といった装置が使われることが多い。ただし説明に紙幅が要るぶん、序盤が重くなる傾向はある。
短編と長編、どちらから読むといいですか
初めてなら短編か単話が向く。変化型の短編は一点に集中しているので、ジャンルが合うかの判断に使いやすい。違いは単話と単行本、どちらを買うべきかにまとめた。