W不倫は、双方に既存の関係がある設定を指す。ダブル不倫の略だ。
不倫ものの一形態だが、片方だけの場合とはかなり性質が違う。
対等であること
一番大きな違いがこれだ。
片方だけの不倫では、失うものの量が非対称になる。片方は生活を失うかもしれないが、もう片方は失うものがない。この差が力関係を作る。
W不倫では、双方が同じだけ失う。だから力関係が生まれず、関係が対等になる。
| 片方だけ | W不倫 | |
|---|---|---|
| 失うもの | 非対称 | 対等 |
| 力関係 | 生まれる | 生まれにくい |
| 罪悪感 | 片方に偏る | 共有される |
| ばれる危険 | 片方の生活 | 双方の生活 |
罪悪感を共有できる
これがW不倫特有の読みどころになる。
片方だけの不倫では、罪悪感を抱えるのは一人だ。相手には分からない。だからそこに溝が生まれる。
W不倫では、同じ罪悪感を二人が持っている。誰にも言えないことを、相手にだけは言える。この構図が関係を深くする。
つまり、秘密が二人を結びつける装置として機能している。社内恋愛の「ばれてはいけない」が、さらに強くなった形だと考えると分かりやすい。
ばれる危険が二重になる
緊張感の出どころも変わる。
- 自分の配偶者にばれる
- 相手の配偶者にばれる
- 双方の生活圏が接触する
- 子どもや職場が絡む
露見の経路が二倍あるので、緊張感は持続しやすい。片方だけの不倫より、話が緩みにくい構造になっている。
生活圏が重なる設定(同じ職場、近所、ママ友)と組み合わされると、この危険が最大になる。
結末が難しい
このジャンルの一番の特徴がここだ。どちらも捨てられない。
片方だけの不倫なら、失うものがない側が「選ぶ」ことで話が終わる。W不倫では双方が捨てる必要があり、それは現実的な選択として描きにくい。
結果として、「終わる」型が多くなる。
| 結末 | W不倫での多さ |
|---|---|
| 終わる(元の生活に戻る) | 一番多い |
| 双方が捨てて結ばれる | 少ない |
| ばれて壊れる | 中くらい |
| 隠したまま続く | 中くらい |
ハッピーエンドを求めているなら、事前の確認が要る。結末の型については不倫ものの結末の型にまとめた。
相性のいい設定
再会型が特に多い。学生時代の相手と再会し、双方が既婚になっている。この設定なら、関係の下地と現在の制約が同時に手に入る。
よくある質問
片方だけの不倫とタグは分かれていますか
分かれていることが多い。W不倫、ダブル不倫といった語で示される。ただし作品によっては不倫のタグだけの場合もあるので、あらすじで確認するのが確実だ。
ハッピーエンドの作品はありますか
ある。ただし数は少ない。双方が既存の関係を捨てる必要があり、そこを納得できる形で描くのが難しいためだ。タグに明記されていれば信用していい。
罪悪感が重すぎませんか
作品による。罪悪感を描かず高揚を中心にする型もある。紹介文にモノローグが引用されているかどうかが目安になる。
女性向けと男性向け、どちらが多いですか
女性向けに多い。当事者の内面を描く構造がTLやレディースコミックの作りと合うためだ。
NTRとして読めますか
配偶者の視点が描かれれば、そちらに近づく。ただしW不倫は当事者二人の視点で描かれることが多く、NTRとは別の読み心地になる。
長編と短編、どちらが向いていますか
長編のほうが厚く描ける。関係が深まる過程と、結末に至る葛藤の両方に紙幅が要るためだ。