触手は、人ではない相手として登場する設定だ。植物、魔物、未知の生物、生体兵器。正体は作品によって違うが、共通しているのは人ではないという一点になる。
長い歴史のあるジャンルで、タグとしても完全に定着している。作品数も多い。
ただし、同じタグの中に性質のまったく違う作品が並んでいるのがこのジャンルの厄介なところだ。まずそこを分ける。
二つの方向
作風は大きく二つに分かれる。ここを取り違えると、まず満足しない。
ファンタジー寄り
魔物や魔法の産物として登場する。世界設定の一部であり、深刻さは控えめだ。コメディとして描かれる作品もある。
異世界ものやモンスター娘と同じ棚にあることが多く、他の種族と並列に扱われる。読後感は軽い。
ホラー寄り
得体の知れないものとして描かれる。恐怖、絶望、逃げ場のなさが前面に出る。
こちらは読後感が重い。メリバ寄りの着地になることもあり、救いのない結末を含む作品もある。
| ファンタジー寄り | ホラー寄り | |
|---|---|---|
| 相手の扱い | 世界の一部 | 未知の脅威 |
| 中心にある感情 | 驚き、可笑しさ | 恐怖、絶望 |
| 読後感 | 軽い | 重い |
| 表紙の色 | 明るい | 暗い |
| 隣接タグ | 異世界、モンスター娘 | 監禁、無理矢理 |
表紙でほぼ判別できる。明るい色使いなら前者、暗ければ後者だ。これは1秒で済む確認なので、必ずやっておきたい。
会話が成立するか
読み心地を決めるもう一つの軸がこれだ。相手に意思があるか、言葉が通じるかで、話の性質が根本から変わる。
| 相手の状態 | 話の性質 |
|---|---|
| 意思がなく、本能で動く | 状況そのものが主題。関係は生まれない |
| 意思はあるが言葉は通じない | 意図が読めない緊張感が中心 |
| 人の姿を取れる・会話できる | 関係が生まれる。恋愛に近づく |
一番下の型は人外ものと重なる。関係性を読みたいのか、状況を読みたいのかで選ぶ型が変わる。
このジャンルに抵抗があるが気にはなる、という場合は下から入るのが確実だ。人の姿を取れる設定なら、他の人外ものとほとんど変わらない読み心地になる。
相性のいい設定
触手は単独で成立するというより、他の設定と組み合わされることが多い。
- 異世界・ダンジョン — 遭遇する理由を作りやすい。数が一番多い
- サキュバスや魔物 — 同じ世界に置ける。使い魔として扱われることも
- 調査・探索もの — 未知のものとして自然に出せる
- 研究施設・実験 — 現代を舞台にする場合の定番
- 植物・寄生 — ホラー寄りに寄せるときに使われる
現代を舞台にした作品は数が少ない。理由は単純で、説明が必要になるからだ。異世界なら世界の一部として置けるが、現代では「なぜそこにいるのか」を書かなければならない。
拘束としての機能
このジャンル特有の構造として、触手そのものが拘束の役割を果たすという点がある。
拘束・監禁のタグが併記されている作品が多いのは、そのためだ。相手が人でないぶん、拘束の描写が自然に成立する。
つまり、拘束が苦手な人はこのジャンルも合わない可能性が高い。逆に言えば、片方が好きならもう片方も試す価値がある。
苦手な場合
タグにはほぼ必ず出る。表紙にも出るので、不意打ちで踏むことは少ないジャンルだ。
ただし例外がある。他ジャンルの作品に一場面だけ入ってくる場合だ。この場合はタグが省かれることがあり、事前に判別できない。
これが一番読めないパターンなので、気になるならレビュー本文を見ておくと確実だ。読み方は星の数より、レビュー件数を先に見るにまとめた。この要素は入っていれば必ず誰かが書く。
選ぶときの手順
1と3だけでも、想定外の重さを踏む確率はかなり下がる。
よくある質問
触手ものはホラーですか
作品による。ホラー寄りの作品はあるが、コメディやファンタジーとして描かれる作品も同じくらいある。表紙の色使いと絵柄で見当がつく。
会話ができる相手が出てくる作品を探しています
人型を取れる設定の作品を探すことになる。人外のタグと併記されていることが多いので、そちらから探すほうが早い。
女性向けの作品もありますか
ある。ただし数は男性向けのほうが多い。女性向けでは人型を取れる設定と組み合わされることが多く、関係性を描く作りになりやすい。
苦手ですが、要素として少し入る作品も避けたいです
タグが省かれる場合があるため、完全には避けられない。純愛タグで絞ると入っている確率がかなり下がるので、そちらのほうが効率がいい。
短編と長編、どちらが多いですか
短編と単話が多い。状況を描くジャンルなので、長さが要らないためだ。関係を描く型の作品は長編になることもある。
他の人外ものと何が違いますか
会話が成立しない作品が多い点が最大の違いだ。サキュバスやエルフは人の姿で言葉が通じるので、関係を描ける。触手はそこが前提にならない。