同居・同棲ものは、同じ家に住むという設定を使った型だ。
単純だが強力で、これだけで話が回る。ただし効いている理由は、多くの人が思っているのとは少し違う。
効いているのは逃げ場のなさ
この設定の本質は、距離が近いことではなく逃げられないことにある。
気まずくなっても顔を合わせる。避けようとしても同じ家にいる。だから関係は前にしか進まない。曖昧なまま止まることができない。
これはオメガバースの番や契約結婚の期限と同じ働きをしている。逃げ道を塞ぐ装置だ。
同じ構造は沼る作品の条件でも一番目に挙げた。逃げ場のない設定は、ジャンルを問わず強い。
始まり方の型
| 型 | 始まり方 | 話の性質 | 数 |
|---|---|---|---|
| 事情型 | 家がなくなる、親の再婚など | 巻き込まれる形 | 一番多い |
| 契約型 | 利害の一致 | 期限がある。締まる | 多い |
| 成り行き型 | 一夜から始まって続く | 展開が速い | 中くらい |
| もともと型 | 幼なじみや家族ぐるみ | 前提が既にある | 少ない |
事情型が一番多い。本人の意思で始まっていないので、抵抗を描きやすいからだ。
そして抵抗があるほど、受け入れる過程が描ける。ここはツンデレや快楽堕ちと同じ落差の構造になる。
家の中という舞台
同居ものには、決まった場面がいくつもある。
- 風呂と洗面所の順番
- 寝る場所の問題
- 食事を作る側と食べる側
- 生活習慣の違い
- 帰宅時間のずれ
これらは全部、距離を縮めるための装置として使われている。定番だが、定番になるだけの理由がある。
作品の出来は、この場面をどれだけ丁寧に書くかで決まることが多い。生活が見える作品は人物に厚みが出るし、場面が記号としてしか使われていない作品は薄く感じる。
落差を作れる組み合わせ
同居ものは他の設定と重なりやすく、重なるほど強くなる。
| 組み合わせ | 何が生まれるか |
|---|---|
| 契約結婚 | 期限。ほぼ必ず同時に成立する |
| 社内恋愛 | 職場での顔と家での顔の落差 |
| 先輩・後輩 | 上下関係と生活の混在 |
| 幼なじみ | 下地があるので前置きが不要 |
外での立場と家での関係の落差。これを作れるのが組み合わせの利点で、二つ目と三つ目が特に効く。
よくある質問
同居と同棲は違いますか
同棲は恋人同士が一緒に住むこと、同居はそれ以外の事情も含む。タグとしては分かれていることが多く、同居のほうが範囲が広い。
短編と長編、どちらが多いですか
どちらもある。生活の場面を積み重ねる作りなので、長編のほうが厚くなりやすい。
BLにもありますか
ある。ルームシェアという形で使われることが多く、構造は同じだ。
家族が同居する設定は扱っていますか
親の再婚などで血縁のない相手と同居する、という設定はある。正規の配信サイトでは登場人物はすべて成人として描かれる。
期限のある同居を探しています
契約結婚や、卒業・異動までという設定を探すといい。期限があると話が締まる。
生活感のある作品を探しています
紹介文に食事や家事の場面が触れられている作品が向く。記号としてしか使っていない作品は、そこに言及しない。