溺愛系は、片方がもう片方をひたすら大切にする作品を指す。葛藤より、甘やかされる場面そのものが読みどころになる。
執着系との違い
どちらも相手を強く思っている点は同じだが、向きが違う。
溺愛は、相手が心地よくいられるように動く。相手の望みを優先する。
執着は、自分の手元に置いておくために動く。相手の望みと衝突することがある。
| 溺愛 | 執着 | |
|---|---|---|
| 誰の望みが優先されるか | 相手 | 自分 |
| 相手の自由 | 広がる | 狭まる |
| 読み心地 | 安心 | 緊張 |
同じ「好き」でも、相手の自由を広げるか狭めるかで分かれる。作品によっては両方の性質を持つので、紹介文だけでは判断しきれないこともある。
執着攻め・ワンコ攻め・俺様攻めの分類でいうと、溺愛はワンコ攻めと重なる部分が大きい。
物語としての作り方
溺愛系は、葛藤が少ないぶん、退屈にならない工夫が要る。
よくあるのは、主人公が過去につらい経験をしている構成だ。大切にされることに慣れていない人物が、少しずつ受け入れていく過程が物語になる。だからざまぁから始まる作品との相性がいい。
もうひとつは、溺愛する側に事情がある構成。なぜそこまで大切にするのかが後から明かされる、という作りだ。謎が推進力になる。
選ぶときの目安
前半のつらさがどの程度か。溺愛に至る前段として、主人公が不遇な状況に置かれる作品は多い。そこが重いと、甘い部分にたどり着く前に疲れる。
溺愛の理由が示されるか。なぜその人物がそこまで大切にするのか、説明のある作品のほうが納得して読める。理由なく甘やかされる話は、好きな人には最高だが、そうでない人には薄く感じられる。
束縛に転じないか。溺愛として始まって、途中から独占に寄る作品はある。そこが好きな人もいるが、安心して読みたい人には想定外になる。
この3つは、試し読みと紹介文でだいたい見当がつく。まずは試し読みで甘い場面の温度を見るのがいい。
どういうときに向くか
読後感が保証されているジャンルなので、外れを引きたくないときに向く。
- 疲れているとき。頭を使わずに読める
- 寝る前。後味が悪くならない
- ジャンルを開拓する前の口直し
逆に、緊張感のある話を読みたいときには物足りない。ここは完全に用途の問題だ。
よくある質問
溺愛系はワンパターンになりませんか
なりやすいジャンルではある。だからこそ、前半の設定や溺愛の理由に工夫が入る。設定が気に入ればその作品は最後まで気持ちよく読めるので、あらすじの時点で好みが合うかを見ておくといい。
男女ものと男性同士のもの、どちらが多いですか
どちらにもある。TLにもBLにも溺愛系の作品は多く、探し方は同じだ。組み合わせで絞ってから、溺愛のタグで絞るとたどり着きやすい。
甘いだけの話が読みたいのに、途中でシリアスになります
前半に山を作る構成が多いためだ。避けたいなら、単話や短編を選ぶといい。分量が短いほど余計な起伏を入れる余地がない。単話と単行本の違いはこちらに書いた。